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1ドル134円台で20年ぶりの円安
為替相場で円安が止まりません。
2022年6月8日時点のドル円相場は、1ドル134円台にまで突入し2002年2月以来、実に20年4ヶ月ぶりの円安水準に到達しています。
このグラフを見てもいかに急激かつ圧倒的に円安が進んでいるのかがわかります。
なぜ円安が進むのか
円安が進む理由は色々と考えられますが、最も影響がありそうなのが「金融緩和の継続」です。
インフレの兆候があるアメリカでは、FRB(連邦準備制度理事会, アメリカの中央銀行)が金利を上げて対応しています。
金利が高い通貨で持っている方がたくさんの金利収入を得られるため、そちらに資金が流れます。
今回のケースだと、ドルを買う人(ドルで資産を持つ人)が増えるため、円安ドル高になります。
また、世界的な低金利時代から、日本と同じくマイナス金利政策だったヨーロッパなども、金利を上げる可能性を示唆している中、”円”だけが惟一低金利を継続する意向を示しており、この出遅れと金利の低さが原因となっています。
円安が進むとどうなるのか – 貯蓄が最もリスキーな理由 –
円安が進んだからといって
と自分には関係のない話だと思っていないでしょうか。
日本で生活し、円で給与/所得をもらい、円で生活(円を消費)していると、為替の話に関心が持てないかもしれませんが、実際のところそんなことはありません。
為替の影響は私たちの生活の身近なところにも表れています。
円安に関連して大きなニュースになったのが、新作Macの価格です。
これまで10万4,800円(税抜)だったMacBook Air(M1チップ)の価格は、2022年6月に発売される新モデルては13万4,800円(税抜)に引き上げられています。
アメリカでの価格が999ドル(税抜)で固定なことを考慮すると、日本円で購入した場合のみ、価格が28%近くも上昇しています。
ですが、前作が発売された2020年当時の為替が1ドル105円前後で、現在1ドル134円まで円安が進んでいることを考えると、この価格の変化は極めて妥当でしょう。
2年前のMacBook airの為替が104.9円/ドル、2022年新作が134.9円/ドルであり、実際の為替と非常に近い水準です。
このように、私たちの身の回りのものの価格にも為替は十分に影響します。
かつては自動車などの工業製品を中心とした輸出大国でしたが、現在では、海外製品のみならず、エネルギー資源や食料品など、多くの分野で輸入に頼る必要があります。
一見すると日本製に見えるものでも、その中身(パソコンであればディスプレイや半導体など)や原材料は海外のものの場合も多く、円安が進行すると、私たちの身の回りの全てのものの価格が上がる可能性があるのです。
つまり、もし全ての資産を円建てで持っている場合、世界的に考えてあなたの資産は円安によって少しずつその価値が目減りしています。
ここ2年ほど、日経平均価格の上昇がニュースになっています。
新型コロナウイルスの影響で、2020年3月頃に16,000円台まで暴落した株価は、2021年9月には3万円台を突破するまで急上昇しました。
その後も高い水準をキープしており、今年3月に25,000円を割ったものの、6月現在では再び28,000円台に戻しています。
一見すると、順調に経済が回復しているようにも見えますが、実際にはここでも為替が大きく影響しています。
日経平均株価を”ドル建て”で見てみましょう。
このグラフから分かるようにドル建てで見た場合の日経平均は右肩下がりです。
世界的に見れば「日本の株価は下がっている」というのが真実なのです。
「貯金が一番安全」と考えるのは間違いです。
貯蓄は、確かに額面の数字は減りませんが、円建てでしか資産を持っていないと、為替変動によって資産を失うリスクが大きくなります。
円安が進む時こそ海外投資がおすすめなわけ
このように、円安時において「日本円での貯蓄こそが最もリスキーであり、損をする可能性が高くなります」
「投資=リスクのあるものを買うこと」
「貯蓄=資産が減らない安全なもの」
と思っている人は考えを改める必要があります。
貯蓄(銀行預金)とは、「資産を円建てで持つ」という選択であり、何も考えないでただただ預金している人は、「資産を日本円にオールイン」という極めてリスキーで偏ったポートフォリオになっています。
円安が進む限り、銀行に預けているだけではリスクがあります。
だからと言って、急に全てを投資に回す必要はありませんが、最低でも貯蓄の何割かは株や投資信託、ファンドに投資することをおすすめします。
まず初めに考えるのが「日本株」への投資でしょう。
日本株への投資は円建てになりますが、先述のように円安が進むと株価が上がる傾向にあるため、(実際に資産価値が増えるわけではありませんが)ある程度為替のリスクも軽減することができます。
ですが、円安が進むことを考慮した場合、よりおすすめできるのは海外への投資です。
例えば、アメリカの株100ドルに投資した場合、その株価(ドル建て)が上がらなくとも、円安が進みさえすれば相対的に円資産は増えます。
さらに、株価が上がればその利益はさらに大きくなります。
このように円安が進む局面においては、積極的に海外投資し、為替リスクを分散させることが非常に有効なのです。
おすすめの海外投資は?
では具体的にどんな海外投資がおすすめなのでしょうか。
ここでは「アメリカ」と「中国」に着目していきます。
人気No.1のアメリカ投資
海外投資と聞いてまず初めに浮かぶのが「アメリカ株式」への投資でしょう。
この記事の中でも、円安についてドル円相場で説明したり、ドル建てで投資する例などを示してきました。
確かにアメリカは最も身近な海外ですし、「外国為替=ドル」と考えている人もいるかもしれません。
実際、投資信託の中で、今最も人気があるのもアメリカ株式に連動するものが上位を占めています。
参考:全銘柄ランキング(買付金額) | 投資信託 | 楽天証券
あるデータによると、2021年の投資資金のうち、90%以上が米国株式に流れたとのことです。
このように人気のあるアメリカ株式ですが、実際のところそこまでおすすめできるものではありません。
昨今の人気に伴って、アメリカ株式は、株価そのものがかなり割高なラインまで高騰しています。
FRB(アメリカの連邦準備制度理事会)もインフレを懸念して金利を上げる対応をしています。
割高になっているアメリカ株は、株価が頭打ちになるだけでなく、インフレ抑制などに伴って、今後大きく値下がりするリスクもあります。
投資のポイントは周りの人気やトレンドに流されないことです。
有名な話ですが、皆んなが手を出している人気商品は頭打ち直前であり、元々投資に興味のなかった人が手を出し始めたら終わりが近いと言われています。
狙い目の中国投資
そんなアメリカ株式に代わって、今狙い目なのが「中国株式」です。
中国は、これまで閉鎖的な政治環境だったこともあり、世界的に見てもまだ株式市場にあまり資金が集中していません。
特に、日本人は近隣でありながら中国に対して懐疑的な考えを示す傾向があり、中国への投資を無意味に躊躇する傾向があります。
ですが、中国は既に日本を抜いて世界2位の経済大国であり、今後アメリカを抜いて世界最大の経済大国になることも時間の問題と言われています。
このように、大きく経済成長している一方で、株式市場に大きな余力を残す中国株式は、今後大きく成長することが期待されます。
もちろんそれに加えて円安が進むことによる為替の恩恵も期待できます。
中国への投資は、世界の投資家が参入し始める直前の今こそが最大のチャンスであり、周りに先んじてスタートすることで、大きな利益獲得が見込めるのです。
中国経済の動向や中国株式については、以下の記事で詳しく分析・解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
しかし、中国への投資は様々な制限もあり、素人がいきなり手を出そうとしてもその範囲は限定的です。
そこでおすすめなのが、中国に投資するファンドを介して、間接的に中国株式に投資する方法です。
日本のファンドであれば、契約や手続き等も安心できますし、ファンドを介して中国に投資すれば、中国の投資機会を十二分に活用できるでしょう。
中国に投資するファンドについては、以下の記事でおすすめやその特徴を解説しているので、ぜひこちらも参考にしてみてください。